雨 傘01

 誰だって雨はイヤなはずだ。水不足で断水が続いた夏の日でも無いかぎり、雨降りを待ちわびることはないだろう。引っ越しの予定はかなり前から立てる。当日の天気を考えて日時を決定することはない。だから、雨が降ることもあるのだ。

そう、雨が降っていた。悪い予感ほど当たるものだ。気分が落ち込むが日程をずらすことはできない。腹をくくって、現実を受け入れるしかない。引っ越し先での新生活をあれこれ想像しながら引っ越し業者のトラックが到着するのを待った。

雨の中、トラックまで段ボール箱を運ぶ。予想に反して箱は頑丈だ。少々の雨でシナッとしおれたりしない。おそらく、箱の中の荷物も濡れていないのではないか。部屋からトラックまでの短い距離くらいで、荷物への悪影響を心配する必要はなかった。引っ越し用段ボールは、少々雨に濡れることなど想定済みで作ってあるのだろう。

物理的なダメージが少ないとわかれば、あとは私の考え方次第だ。少々雨に濡れてもイヤに思わないことだ。よく考えると、傘を持たずに出かけたときに、予期せぬ雨で濡れてしまうことはよくあることじゃないか。たまたま、引っ越し日の今だったということだ。淡々と引っ越しを続ければいいのだ。

雨の日の引っ越しは何のトラブルもなくすんだ。業者もプロなので、よくあることなのだろう。雨の中、平然と積み込み、積みおろしをしてくれた。雨で心を乱した自分が恥ずかしくなった。

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